コラム

2025.08.18色彩コラム

熊出没注意

警告色

【熊出没注意】
黄色と黒の看板見たことありますか?
北海道を旅するとよく見かけたものですが今年は全国に張り出されています。ヒグマはホッキョクグマと並んで世界最大級で知床半島が生息密度で世界で一番です。
ツキノワグマは少し小さくて基本草食なので魚も食べませんが可愛いプーさんとはちがいます。

筆者は斜里町出身で父親が子どもの頃クマに襲われたという稀有な体験談を聞かされたものでした。
その時は部落総出でタイマツをかざし、ブリキのバケツをガンガン鳴らして助け出されたそうです。
山に引きずり込まれた時の熊の歯型がついた右足のかかと部分の肉がほとんどなく不自由でした。
また再び襲われるということでその年はクマが冬眠するころまで、毎晩警戒したそうです。
その当時近所でクマを飼っている家があったそうですがその事件の後、阿寒湖温泉のクマ牧場に引き取られたそうです。

黄色と黒の組み合わせは警告色といって、有彩色の中で一番明るい黄色と
逆に一番暗い黒を組み合わせ、さらに斜に組み合わせたりして目立たせます。赤い文字が入ることもあります。危険物の象徴ですね。

黄色と黒はスズメバチの特徴でもあり、
多くの動植物は保護色なり擬態の変色なりで生き残りをかけますが、熊はほとんど色の識別ができない2色型のため、
スズメバチの黄色も判断できず、犬よりも鋭い嗅覚で大好物の蜂蜜を探し平気で蜂の巣を襲います。
よく家の軒下に蜂の巣を作るのは熊対策かもしれません。

一部の有毒物質を持つ生物は捕食者に対して「自分は危険である」と知らせるために
とても毒々しい色を身に着けます。カエルが有名ですね。蛍光色みたいな自然界にはない色で身を守ります。

動物の目は2色型が多く、人の3色型よりも色の識別はかなり劣ります。人は光のない夜は不自由ですが、動物は白黒画面のようで夜でも変わりません。
人は情報の8割を視覚に頼っていますが、動物は嗅覚と聴覚方が優れています。猟師は絶対風上からは近づきません。

ですから警戒色とは人間用ですね。クマの視覚に対しても人間界への警戒色があれば『ここからは危険』と住み分けが上手くできたかもしれません。
トウガラシの臭いスプレーと熊用鈴だけでは身を守るのは難しいですね。慌てて逃げないでと言われても熊との睨み合いに勝つ自信はありません。
鳥類は夜以外は一番視力視覚がいいといわれ、昔カラスのごみ対策でゴミ袋を黄色にした事がありましたが、一時的なもので慣れたら効果はありませんでした。

色の識別は人間が一番優れている分野です。