コラム

2025.12.05色彩コラム

五色幕

自然の色

色鮮やかだった紅葉の季節もいよいよ終わります。
枯葉が落ちた山々が間もなく真白に覆われます。
白だけでも何百と種類があると言われますがそれはまたの機会に。

1年で1番鮮やかだった紅葉の中でいつも違和感を感じるものがあります。
それが神社の『五色幕』
自然を感じたくてわざわざ出掛けた山中に寂れたお堂と派手な『五色幕』

どんなに離れたポツンと1軒家でも、キンキラの中尊寺金色堂でも、日光東照宮の3猿の前でも
何故か異彩を放つ『五色幕』どうしても個人的になじめません。

調べましたら、全てお釈迦様を表す「髪の毛の色」から「身体の色」「血の色」「歯の色」「袈裟の色」
を表し、「安寧」「豊かさ」「慈悲」「清浄」「忍耐」を表現しており並びも決まっていると。

意味は解かってもあの派手さは自然の中では浮いてしまっているでしょう。
海外の金色や赤のお釈迦様の像の前や
お彼岸や落慶法要、開眼供養、花祭りなどの【ハレ】の日にはふさわしくとも
どうも日本の「わび」「さび」の世界では。

まるで雪舟の絵の中に伊藤若冲の鶏がいるような。
あれは化学繊維の布地と化学塗料が違和感でしょうか?
色に和名があるように昔の染料と布地と染め方で作ればもう少し日本の風景にになじむでしょうか?

でも伊藤若冲の色も江戸時代に存在するといった不思議な色の世界です。